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「ありがとうお姉さん……もう大丈夫」
「そっか。強いね、君は」
お姉さんはフッと微笑んで頭を丁寧に撫でてくれた。
ずっと年上とはいえ、お母さん以外の女の人にこんなに甘やかされるなんてちょっぴり恥ずかしい。
けど全然嫌じゃなかった。どころか、不思議なぐらいに癒された気がする。
ちぃへの申し訳なさが消えたわけでは無いけれど。
「ねぇ君。これから先、また心に雨が降っちゃった時は、ここにおいで。私がいつでも慰めてあげるから」
「え……いいの?」
「うん。いいよ」
知らない人について行っちゃダメって先生は言ってたけど、僕はこの知らないお姉さんの誘いを断わる気になれなかった。
だって無理だよ。こんな安心する気持ちを知っちゃったら。
「今日はもう大丈夫だよね? さ、お家に帰りな。きっとお母さんが心配してるよ」
「うん、ありがとう! またね!」
お姉さんに背を向けて家へとダッシュする。いつのまにか、雨は小降りに変わっていた。
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