雨に祈れば

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 翌日ホテルを手配しようとしたが、牛のにおいで拒否された。  仕方がないので出発までの3日間、僕たちは牛とともに寝起きし、お世話になったお礼にと牛の世話もした。  ニオイはつらかったが子牛はかわいくて、最後には離れるのが寂しくなってしまった。  気に入ったなら連れて行っていいと言われたが、流石にそういうわけにはいかず、また帰りに会いに来ますと約束してバスに乗った。  16時間のバスの旅は想像を絶した。  床はところどころ抜けていてうっかりすると足が地面についてしまう。  そうなったら怪我どころじゃすまないので、みんな正座や立膝でバスに乗っている。  後ろ半分は座席がなく荷物を載せる場所になっているのだが、僕たちの荷物は半端なく多かったので別料金がかかった。  それはまあ仕方のないことだと思ったが、人が乗る10倍の価格で足元を見られているのかもしれないと感じた。
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