雨に祈れば

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 しばらくするとバスは軽い蛇行運転をし始めた。  明らかに運転手が居眠りをしているのが分かったが、誰も動じない。  起こしに行こうとしたら、ここはぶつかるようなものは何もないし、ハンドルは固定されているから大丈夫と笑い飛ばされた。  無休憩で走るから16時間で、寝かせてあげないとかわいそうだと言い出す始末だ。  直線で目的地に向かっているから迷うこともないと言われた。  居眠りしても大丈夫な工夫があるといわれても安心なんてできない。  たまに動物が飛び出してくることがあるが、そんな時は起きていても避けられるものじゃないから気にしてもしょうがないのだという。  おおらかなのか怖いもの知らずなのか、驚きの連続だったが、何とか無事に目的地に着いた。  けれど、まだまだ試練はここからだった。  冬だと雪に覆われる道だが、季節もよく最初は楽しめたのだが、道なき道を進む中、何度も足を滑らせ体力を消耗した。  山登りが初めての僕たちには地獄だった。  
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