雨に祈れば

　さらには対策をしてきたつもりだったのに二人して見事に高山病になり、思った以上に登るのに時間がかかった。
　幸い重症化することなく最終的にはモユアンテスにたどり着いたが、もう二度と登りたくない。
　途中雨にも雪にも降られなかったのだから運がいいと言われても、ぜんぜん納得がいかない。

　モユアンテスに入ると美しい景色が目の前に広がった。
　歴史を感じる遺跡のように見えるが、よく見ると近代的な施設だ。
　まるで古代の風景なのだが、形だけを残して今風の建物になっているようだ。
　中に入るとエレベーターもあり、空調も完璧に制御されている。
　日本と変わらない生活ができそうで安心した。

　用意されてた部屋は新婚だと伝わっているようで、ゴージャスでリゾート地のホテルのスイートのようだった。
　歓迎してくれているのはわかるのだが恥ずかしい。
　ここまでの道のりが嘘だったのではと思えるほど快適で、とりあえずは体を休めて観光をしてくれと言われた。