雨に祈れば

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 忙しそうではあったが楽しそうで、その仕事が好きなのだとわかる。  前の会社にいた時は僕自身忙しくしていて、こんな風にのんびり晴菜の仕事をする姿を、見たことがなかったので新鮮だった。  じっと見ていると気が散るというので、僕は現地の人と交流するため出かけた。  雨についての調査をし、レポートをまとめるためもあったが、ほかにもこの国のことを知りたかったのだ。  現地の料理を学び、晴菜に手料理をふるまうと驚かれた。  モユアンテスの料理は日本人の舌に合うようでかなりおいしい。  そんな風に二人で楽しく充実した毎日を送っていた。  教えてもらった雨が降る前になると現れるという自然の変化に目を配りつづけていたら、いよいよ明日雨が降るんじゃないかというところまできた。  雨は前日から休みになるという。  神から与えられる恵みの祝いをしなければならないので、仕事をするのは許されない。  晴菜は終わらせてしまいたい仕事があったらしく少し渋っていたが、結局は彼らのしきたりに従った。
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