雨に祈れば

　僕は自動でレインスティックが音を奏で続けるように工夫してみた。
　単調にならないようにランダムに傾き方を調整したが、どうしても機械音が混じってしまう。
　手で傾けて鳴る音を録音してみたが、音が変質してしまい魅力はかぎりなく薄れてしまう。

　僕は雨を渇望した。
　雨音が快眠をもたらすと聞いてますます心惹かれた。
　でも、雨よ降れといくら望んだところで今の日本に雨が降ることはない。

　それから僕は雨についてたくさん調べた。
　雨が最後に降っていたころは、ゲリラ豪雨という突然の大雨や大きな台風が異常発生し、多くの人が命を落としたらしい。
　もちろんそんなことにはなってほしくはないから、雨を制御する技術は必要なものだとはわかる。
　だが、ここまで完全に雨のない世界を作ってよかったのかと疑問がわいてきた。