雨に祈れば

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 日本が開発した技術で、災害を減らす目的の元、金銭的余裕のない国には無料で技術提供され世界に瞬く間に広がった。  素晴らしいことだと思うが、受け入れなかった国もいくつかあったという。  天候は神の領域だから人が手を出してはいけないという考えによるものだという。  僕は今も雨が降る所がこの地球上にあると知り、何としてでも行ってみたいと思うようになった。  ばあちゃんの残した手紙には、本物の雨の音はもっと素敵よとあった。  僕は向いてないと感じていた今の仕事を思い切ってやめて、旅に出ようと決めた。  仕事を失ってもしばらくは生きていける。  ばあちゃんも一緒に連れて行こうと決めて僕は旅支度を始めた。  上司は驚いてはいたが、快く送り出してくれた。  口下手でうまく商品を売ることができなかった僕は、地を這うような営業成績しかとれてなかったので必要とされてなかったのかもしれない。  体よく追い払えたと思われている気がして少し寂しくなった。
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