冷たい人

1/1
前へ
/47ページ
次へ

冷たい人

ふたり連れ立ってエレベーターを待つ 『マジで勘弁してくれよ…』 「……あの女性と一緒に行きたかったんですか?」 『それじゃない』 「では、何を?」 この人は前を見たまま 「何怒ってんだ?」 『別に』 「あっそ」 ゾクゾクするほど冷たい顔 「ラーメンでいいか?美味いとこあるんだ」 『クス、いいですよ』 「何がおかしい」 『ランチデートのつもりだったのに、ラーメンって』 「…デートはまた今度な」 『はい』 カウンターへ並んで座り、ラーメンをすする コイツが、ラーメン食べてるだけでこんなに目立つ 「そう言えば、大事な話があるって?」 『嘘ですよ。君との時間を邪魔されたくなかっただけ』 「はぁ…まったく。可愛い事してくれて」 『あの女性、君の事が好きだよ』 「いや、どう見てもアンタ狙いだろ」 『好きでしょう?あんな美人』 ほらまた、冷たい顔 「アンタ、そんな顔すんだな」 『…どんな顔でしょうか』 「冷たい顔…ゾクゾクするよ。嫉妬か?」 『君は誰にも渡さない、その為なら…』 「そこまでだ。ラーメン屋でそれ以上言うな」 『好きだから、それを忘れないで』
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加