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気になる人
その日から…
あの人が気になって気になって
同じ営業フロアの一課と二課で
遠いあの人を目で追う日々
俺は一体どうしたんだ
頭を冷やそうと廊下に出たところで
あの人と…あれは金田部長か
サッと踵を返して喫煙所へ向かおうと
クソ…
あの人の肩に乗っていた部長の手が気になり振り返ると
背中をススっと通り腰へ回る
「部長、その手…男同士でもセクハラですが」
【いやぁ、そんなつもりないんだけどなぁ、ね、羽水くん?】
頭を掻きながら、そそくさと逃げて行った
「羽水、空いてんなら付き合え」
タバコを吹かす仕草をして誘う
『うん、もしかして助けてくれた?』
「そんなんじゃない、見ててムカついただけだ。アンタも嫌なら避けろよ」
『そうだね…でも一応上司だから…』
「関係ないだろ?そんなんだから…っ…」
羽水がハッとした顔で空を見上げる
『知ってるんだね…』
「悪い…こんな事言うつもりなかった」
『いや、本当の事だから』
「……」
『あの事件の後、避けたり、断ったりするのが怖くなってね。今でも傷が痛むんだ、もうずいぶんたったのに…』
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