ダダ漏れの俺ら

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ダダ漏れの俺ら

そして俺たちは、会社ではただの同僚を貫こうと約束し出社の日を迎えた 一週間、片時も離れず一緒にいた お互いにずっと触れていた 食べて寝て抱き合って そうやって過ごした だからか 同じフロアの営業部 課が違うから遠い 俺の指が、腕が、胸が あの人が足りないと 疼く 触れたくて、抱きしめたくて 疼く グッと拳を握り込み、一呼吸 【あ、羽水課長!】 『永山くん、お疲れ様』 【あれ?羽水課長、この香水…】 俺たちが同じ香水だと気づいて? 「羽水!なんか用か?」 『おう…比山課長…実はご相談があって…』 今、桜士郎って呼ぶとこだったろ? 資料を抱えて、慌ててる 「ああ、座れよ」 俺は近くにあった丸椅子を自分の側に置く 『忙しいのに、すみません』 膝と膝が触れ合う ドクドクとお互いの想いがそこから流れ込む 『ここなんだけど…』 「ああ、これはな……」 机の下でそっと手を重ねる 『比山課長、助かりました』 「いや、いつでもどうぞ」 『あ、比山課長。ランチ…』 「ああ、ラーメンな」 ペコリと頭を下げ、自席に戻るこの人 あー、ヤベェ あの人の匂いに反応しそうだった
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