気になる人

2/2
前へ
/47ページ
次へ
「だからって…誰にでも触られていいわけないだろ?」 『そうだね、ありがとう…もう、行くね』 ここで、行かせてしまったら何かが終わりそう…で 俺は咄嗟にこの人の肩をグッと掴んだ ビクッと身体を揺らし、振り返った眼は涙に濡れていた 俺は堪らず、細い身体を抱きしめた 『う…っ』 「泣くな…いや、今だけ泣いていい」 しばらく抱き合って、この人のしゃくりが止まったところで身体を離した 『ごめ…泣くつもりなんてなかったのに』 「誰にも言わないから、俺も何も見てないし何も知らない」 『それは…ちょっと寂しいかも』 「は?」 『クス、冗談だよ。ありがとう』 そう言って笑ったその人は この世の何よりも綺麗だった
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加