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「美人って自分で言うのかよ…」
『…ずっとそう言われてきたからね』
「まぁ、俺もかなりのイケメンだからな」
『ふふっ、そうだね。あれだけの女の子相手してて本命はいないって有名だもんね。どんなに熱い夜を過ごしても、下の名前は呼ばないし呼ばせないんだって?』
「ああ、面倒だからな」
『そう…じゃ、そろそろ行くね』
「ああ、またな」
羽水を見送って、二本目のタバコに火をつける
俺の事が大好きなウザい美人…か…
ふぅ〜っと吐き出した煙にその人を想った
「戻るか…」
コツコツと非常階段に響くハイヒール
【あっ、見つけた!比山さん、今夜…どうですか?】
「あ…あぁ…」
そう言えばここんとこ、羽水の事ばかりで忘れてた
社内でも評判の受付嬢、確かに美人でスタイルもいい
だが、それだけ
中身は空っぽ
ただ欲を満たす為だけなら、何の問題も無い…それなのに
「悪い…先約がある」
【えー、他の女より私の方がいいでしょう?桜士郎さん?】
そう言って、俺の腕に縋り豊満な胸を押し付ける
「…触るな、俺の名前を呼ぶな…二度と話しかけるな」
俺の冷たい目にビクッと震えその場に立ち竦んだ女を置いて部署へと戻った
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