高三の夏に

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高三の夏に

 高校三年生の夏休みのこと。 仲の良かったマキに 「2週間、最悪1週間でいいから。3食昼寝付、バイト料も多分弾むんで、お願いっ。俺らが一緒に過ごせる高三の夏は二度と来ないし」 と、お願いされて、もう一人、ヒロムとマキの家が経営している民宿の手伝いに行くことになった。 二人は専門へ進学を決めていた。 僕は大学進学の予定で、夏休みは模試やら、模試やら、模試やらで、バイトしている余裕があるほど、優秀ではないのは百も承知だったが、 「一緒に過ごせる高三の夏は二度と来ない」 というマキのひと言に至極納得したのだった。 これからも共に過ごす夏はやって来るだろうが、確かに高三の夏は二度と来ることはない。 「ユウキ、悪いなぁ、勉強あんのに。あー持つべきは友っ」 などと言って肩を叩くマキの笑顔は、小学生の頃と少しも変わっていなかった。
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