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傘を忘れた。
外は雨が降っている。
これは夢だとわかる。なぜなら、おれはもう小学生ではないからだ。なのに、小学校の靴箱にいる。外ばきを取りだし、傘を忘れたことを悔やんでいる。
「りょうくん、かさ、ないの?」
同じクラスのあゆみちゃんに声をかけられた。
「うん。わすれた」
「じゃあ、あゆみのかさにはいってく?」
あゆみちゃんの傘はピンク色。かわいらしい動物のキャラクターが描かれている。
「ううん、へいき。かあさんがむかえにきてくれるから」
「そうなんだ? じゃあ、ばいばい」
「ばいばい」
手を振って、あゆみちゃんが外へ出ていく。ぱっと開くピンク色の傘。それをくるくるとまわしながら、あゆみちゃんは帰っていった。
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