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信号待ちでピンク色の傘をみつけた。あゆみちゃんだ。くるんくるんと柄を回転させるから、水滴がパッ、パッと散る。
「あゆみちゃん」
声をかけると振り向いたあゆみちゃんが怪訝そうに眉をひそめた。
「りょうくん、どうしたの。おかあさん、こなかったんだ?」
ずぶぬれだよ。
そう言って、あゆみちゃんがピンクの傘にいれてくれた。
ああ、そうだ。
どうして、忘れていたんだろう。
夢だからかな。
かあさんは、もういないのだ。
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