4人が本棚に入れています
本棚に追加
――さや乃はどうだろう? いつまでも共にありたいと、どこまでも共にありたいと、どれほど思っていたのだろう?――
だがヒサは、今なら思うのだ。
――魔に堕ちずに良かった。気が動転して後を追わなくて良かった、お救い出来てなによりだった――と。
最期に隆二(槐)がさや乃に言った『健やかに』と言う事葉、ヒサもそれを強く願っている。
とかく人は脆く弱い。が、また強かにしぶとくしなやかだ。
夏に枯れ、多くの草木が枯れ果てる冬に芽吹く緑があるように、こんな時こそ、強かに健やかに芽吹いて欲しいと思うのだった。
――乃東生 なつかれくさ しょうず―― 了
最初のコメントを投稿しよう!