Void

5/28
前へ
/28ページ
次へ
 お客と言う訳でもないのに、ヒサと槐が店を出るときには、二人とも深々と頭を下げて見送ってくれた。  槐は帰りしな、広げた傘に付いている紋を見上げながら呟いた。 「鬼蔦(おにづた)なのだな」  ヒサは「子孫繁栄もあり、また“藪がらし”の異名もありますね」と応えた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加