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「じゃあ、整理するわよ」
注文したバーガーセットのポテトを一本咥えた美貴が、まるで議長のように話し始めた。
その隣でハンバーガーに食らいつく玲は、難しい事には興味がなさそうで、むしろ相当お腹が空いていたのかもう二個目に手を伸ばす勢い。
そして向かいに座る怯えた蛍と、その蛍に突き飛ばされ不貞腐れている葵を交互に見て、ふうとため息をついた。
「まず蛍は男が、特に同年代の男が嫌い」
「……はい」
「んで葵くんは、そんな蛍と仲良くなるため、女装……」
「せめて男の娘って言って、見た目は完璧女だろ?」
「まあ、うん、すんません……」
違いがいまいちわからない美貴が、とりあえず謝ってはみたものの、やはり首を傾げて問いかける。
「二人は幼馴染なのに、何で葵くんが男の娘にならないと仲良くできないのよ」
「……それは」
確かに、葵が同じ学校に進学すると事前にわかっていたら、何年も会ってないとはいえ、それなりに心の準備はできたはず。
たとえ同年代の男が嫌いだからといって、幼馴染の葵をそこまで拒絶はしないだろう。
しかし蛍は、そう断言できる自信もなかった。
「……っ……」
多分、今の葵は昔と随分変わっただろうし、先程耳元で囁かれた声は、紛れもなく男だったから。
男の娘ではない葵の姿を目の前にした時、こんなふうに隣に座る事さえも出来なかっただろうと考えて、沈黙してしまった。
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