194人が本棚に入れています
本棚に追加
「ティア!」と突然名前が呼ばれ、顔を上げてみるとそこにいたのはライラスだった
「な、んで…」思っても見なかった人物がおて驚きのあまり言葉が紡げなかった
「ティアを助けにきたんだ。」と微笑まれ、安心してなのか涙が溢れてきた
「え?ティア、ご、ごめんね、助けに来るの遅くなって…」と私が急に泣いて慌てていたが、その後優しく抱きしめてくれ、さらに涙が溢れてきてしまった
「ううん、そんな事ない…来てくれて嬉しい…」
ーーこのまま死んでしまうかもしれない事が怖かった
ライラスが助けに来てくれた姿は頼もしく、その日からはライラスを弟のように思えなくなってしまった
あの轟音はライラスが魔法で吹き飛ばした影響らしく、ライラスが乗り込んだのちに衛兵も乗り込み誘拐犯たちは捕まったらしい
「ティア、エルティア、無事でよかった…」
誘拐され助けられてから、ライラスは過保護になった
毎日我が家へ来るようになり、街へ行く際は人にぶつからないようにしてくれたり、本屋へ行った際には「重たいでしょ。俺が持つから」と頼もしくもってくれた
そして、私より小さかった背は彼が13歳になる頃には抜かされてしまった
「ライラスにとうとう抜かされてしまったわね…」と溜息をついた
つい先日にも弟のオーギュストに抜かされてしまったのだ
「俺も男だからね。ずっと小さいままは嫌だよ」と笑った
今はお茶会の最中のため椅子に座っているので目線は同じだが、立つと差は5cmほどある
「ティア、これも食べる?」とケーキを口元に差し出される
「えぇ、いただくわ。」と口を開け食べさせてもらう
ここ数年、私に食べさせるのが楽しいらしく、最初は戸惑っていたけど今では慣れたものだ
とはいえ、お店や他の人の前でしてもらうのは恥ずかしくあーんされても頑なに口を開かないようにしているが。
そんな場面をメイドでも執事でもない人に見られているとは思いもしなかった
「なぜ、なのですか…」そう悲痛そうな声がどこからか聞こえてきた気がした
最初のコメントを投稿しよう!