サイカワ ジュンヤ

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   「……なにが」  聞きなじみのない彼の声は、思っていたより低く、俺の耳に届いた。  泣き叫び、掠れ切った…最後の残りカスをかき集めたような、弱々しい声。    ……あ…。  その時、突然、砂漠にいるような喉の渇きが俺を襲った。  喉と喉がくっついて、上手く声が出ない。  彼の細い首筋に刻まれた傷痕の数々。  それは、ヒビヤ ナツメが確かに生きていた証のように思えて、その生々しさに思わず吐き気がこみ上げてきた。  俺はそれ以上、言葉を交わすことなんてできなかった。    俺もこのクラスメイトたちとなんら変わらない。  なんて馬鹿で、浅はかな人間なのだろう。  「…おい、リツ。大丈夫か?」  食事を終えたミタに迎えられ、席に戻った。  頷くことで精一杯の俺は、机に置かれたペットボトルの中身を勢いよく喉に流し込む。  全身で水分を吸収していくのを感じた。    クラスメイト達のつまらなそうな視線が辺りに散って溶けていった。      
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