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失恋にはアルコールで消毒を
ぷはあっ!ああ、今日もビールが美味しい。
「唯先輩、いい飲みっぷりですね」
「1杯目から焼酎ロックいっちゃうかすみんも、なかなかだよね」
金曜夜の、間接照明の綺麗な居酒屋。職場の後輩、かすみんこと、佳純は私の2歳下の25歳。女性の多い私たちの職場で、彼氏がいないのは私とかすみんの2人だけ。
仕事よりも男漁りとお化粧、ネイル、ヘアスタイルの調整に忙しいお嬢さま方とはどうも気が合わない。気がついたら私とかすみんは2人でよくつるむようになった。
「でも唯先輩。良かったんですか?今日金曜夜ですよ?」
「何が」
「彼氏さん。束縛強めの。良かったんですか?」
彼氏……。かすみん以外の女性陣には存在を隠していた彼氏。はい、過去形です。
「別れた」
「え」
「元カノと二股かけやがってた。熨斗つけて押し付けてやったよ」
にやりと笑い、かすみんに視線を流す。一瞬目を見開いた彼女は手を挙げて店員さんを呼んだ。
「生と黒霧ロック、追加で!」
「かすみん?」
「束縛二股野郎とお別れ出来るなんて最高じゃないですか。乾杯しましょ!今日はお祝いです!」
お祝いか……。一応失恋なんですけど。3年付き合ってたし結婚も考えてたんだけど。
「そんな奴の為にしんみりする事ありません。束縛二股野郎と結婚なんてしたら、唯先輩苦労してましたよ?」
「うーん。それは……否定できないかも」
「確実ですって。……ほら、追加の生、来ましたよ」
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