247人が本棚に入れています
本棚に追加
極め付けは手癖の悪さ。私の部屋には、スケルトンタイプの500円玉貯金箱があった。健二と結婚する時のドレス代にと、500円玉貯金を少しだけどしていた。なのに。ある日、500円玉の量が明らかに減っていた。当時、私の部屋に出入りしていたのは健二しかいない。そうでなければ家主の私だけ。
健二を問い詰めた。否定した。でも500円玉を盗ったのは健二しかいない。状況証拠が物語っていた。健二でなければ泥棒に入られたってことだから、警察に相談しようかと話したら健二の顔が強張った。そこで、健二が盗った前提で会話を進めていた。「そりゃ俺が盗ったけど」と口走った。はい終了。自白乙。
「やっぱり健二が盗ったんだね。ねえ、私がどんな思いで500円玉貯金をしていたか知ってるよね?」
「知ってたけど。少しならいいかなって」
「いいわけ無いよね⁉︎信じられない。今日はもう帰って」
そのままデートを続けるだなんて出来なかった。そんなにメンタル、私強くない。
その次の週末から、健二は土日に少しずつ用事を入れるようになった。私も健二と長い時間デートをしようという心境にはなれなかった。
そして──。
大学からの友達である映美がインスタに上げていた、ビールのイベントの写真に健二が写り込んでいた。私の知らない女と一緒に。映美に聞いたら「すぐ近くでべたべたイチャついてて気持ち悪かったんだよね」との証言。
健二は所謂イケメンではない。でも、誠実さに惹かれて付き合っていた。なのに健二から誠実さが無くなったら、もう用は無い。
相手にリスペクトできなくなったら、男女は終わりだ。
最初のコメントを投稿しよう!