【第三章:繋がるこころ】

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 お互いはっきりと言葉にはしなかったけれど、「離れていても心は繋がっている」と思えるように、と祈りを込めた小さな金属の輪。  いま俊也が光に改めて伝えたかったのも、そういうことだった。 「俺は今は向こうで、仙台で精一杯頑張る」  俊也は表情を引き締めると、改まった口調を作って切り出した。 「だから光も。お前もこっちで仕事頑張れよ」  あの頃のやり取りを重ねてしまい、俊也は目の前の恋人に話し掛ける。 「こんなこと俺が言うまでもないよな。光はひとりでもちゃんとできることくらいわかってる。もう立派な大人なんだからさ」 「そうだよ」  俊也が己に言い聞かせるかのように紡いだ言葉に対して、光も何気ない調子で短い答えを返して来た。 「俊也さん、俺は大丈夫」 「ああ、そうだよな」  俊也の目を見つめて静かに口にする彼に、頼もしさを感じる。 「おっと、そろそろ時間だ」 「じゃあ送る」  時計を確かめた俊也が切り出すと、光はすんなりと頷いた。  名残は惜しかったが、二人はともに笑顔のままで改札前で別れの言葉を交わす。  改札を通り抜けてホームを目指して進みながらも、俊也は何度も振り返りながら見送ってくれる恋人を目に焼き付けようとしていた。
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