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望月が私の部屋へ案内してくれる。
自分の部屋に入ると、内装は乱されていた。
いや、荒らされていたというのが正しいだろうか。
布団はシワだらけ
壁紙は剥がされ
机は傷だらけ
カーテンは裂けている。
望月を見る。
困惑の表情を浮かべるが行動は早い。
「申し訳ありません。梨舞様。使用人の仕事が行き届いておりませんでした。早急に直しますので、1度応接間にて待機していただいてもよろしいでしょうか?」
「嫌だと言ったら?」
望月から「えっ」という声が漏れる。
つい笑ってしまった。
「嘘よ、望月。別にいいよ、荒らされているのは片付けをした後でしょう?」
望月は言葉が出ていない様子だ。
「まあ、これをやった奴もわかっている事だし、お父さんを呼んできて」
「片付けよりも先に、でしょうか?」
「うん」
「かしこまりました。」
そう言うと、早歩きで望月は父の元へ向かった。
2分ほどして、父が走りながらやってきた。
「梨舞!...一体、誰が...」
「ねぇ、お父さん、本当は誰がやったかなんて知ってるんじゃないの?」
またもや口を閉ざす父。
「別にいいんだよ?私が力を貸さなくてもいいんなら、だけど」
周りから見れば相当たちの悪い性格に見えるだろう。
けれど、私はそう思われたって構わない。
1秒でも早く、この家から消えてしまいたい。
ここは私の家じゃない。
そう思いたい。
「...これは、雨佳がしたのだろう。」
雨佳というのは、今の母の名前だ。
「なんで、そう思うの?」
「梨舞のことを嫌うやつなんて、この家には1人しかいないだろう...」
自分でも分かっているらしい。
「望月、直ぐに片付けやれるか?」
そう父が問う。
「この荒れ方ですので、早くて30分はかかるかと...」
申し訳なさそうに答える望月に私は答える。
「いいよ、30分ぐらい。というか、時間なんてどれだけかけてもいい」
「かしこまりました。すぐに片付けに入らさせていただきます。」
そう望月が言ったが、私はふと思いついた。
「まって、望月」
「梨舞、様?」
望月は戸惑っている様子だ。
「ねぇ、お父さん」
「なんだ?」
「これって、あいつがやったって言ったよね」
「ああ、」
「なら、この片付けあいつにさせようよ」
「だが、雨佳は体調が...」
父の言葉を遮る。
「こんな事しといて、体調が優れないので望月たちにやらせろって?ふっ、頭でもおかしいの?こんな事できるぐらいなら、十分体調なんて回復してるよね?」
父は戸惑っている様子を見せる。
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