に  ピンチ到来

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 バイオレットがどの道を選ぶのか、ビリジアンは頑張れと心の中でエールを送ることしかできなかった。  ゲームが開始してもビリジアンの生活は変わらなかった。  このまま地味に静かに、日々は過ぎていくのだと思われたが、新年度が始まってしばらく経った頃、ビリジアンは学園長に呼び出された。  授業が終わったらすぐ来るようにと言われて、何事かと思いながら、学園長室のドアを叩いた、 「あのー、お呼びですか?」  部屋に入ると、後ろは壁のはずだが、外を見るように座っている背中が見えて、恐る恐る声をかけた。  くるりと椅子を回転させて、ビリジアンの方に体を向けたのは、この学園のトップであるホワイト学園長だ。  フサフサの白髪に、フサフサ髭は毛先がくるんと上を向いていて、優しい顔のダンディーなおじいちゃんといった風貌だが、目はやけにギラリと光っていた。 「私がどういう人間か知っているのか?」 「はい? 何ですか、その質問?」  斬新な角度からの質問なんて、ビリジアンに分かるはずもなく、顔を顰めて返事をすると、ホワイト学園長は眉間に皺を寄せた。 「お前の父親、パロットが亡くなる時、手を握られて、息子のことはよろしく頼むと約束されてから、もう二十年だ。その間、私は研究の虫だったお前の就職の世話をして、真っ当な人間にしようと努力してきた。色んな場所に連れて行き、色んな人間を紹介したが、お前から出た返事は、私は魔法生物と結婚します、だったな」 「え……」  まさか元のビリジアンがそこまでいっていたとは思っていなかったので、思わず言葉を失ってしまった。 「学園はラブマジック王国の未来を担う若者を、健全に育てるための重要な機関、私はその最高位の学園長。そして、王国仲人協会の理事を長年務めて、最強の縁結び請負人と称された男、そんな……そんな私が、亡き親友に頼まれたはずなのに、その親友の息子が……独身のままここまで来てしまうなんて……」  ホワイト学園長は悔しいのか、ドンッと机の上を叩いた。  載っていた書類やペンが落ちてしまった。  ビリジアンは膝を折って、散らばった書類を集めたが、その書類に自分の名前が書かれているのを見つけて、手を止めて見入ってしまった。
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