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「はぁ、明日から新学期か。まぁ俺にはゲームの展開なんて関係ないし、どーでもいいか。……わっ、ゴローちゃん、よく食べるな。あんまりデカくなると、ケージが壊れそうだな」
今夜も独り言に花が咲く。
この辺りは現実世界と変わらなくて笑ってしまう。
魔法生物達が話せないのは分かっているが、一人で喋るのがもうクセになってしまった。
前年度の生徒が卒業して、教師達も長期休みに入っていたが、ついに明日から新年度が始まることになった。
誰が入学してくるかは、チェック済みだ。
そこに、主人公バイオレットや、攻略対象のイケメン軍団の名前も書かれていた。
そう、つまりゲームの舞台の始まりでもある。
しかし、恋愛ゲームの始まりになんて心が踊らない。
主人公の恋愛なんてどうでもいいし、適当に幸せになってくれとビリジアンは心の中でつぶやいた。
ゲームのモブキャラに憑依した世界でも、現実世界と同じ、平凡で地味な生活が待っていた。
ビリジアンはこの生活が続くと思っていたが、ゲームの始まりと共に、それは終わりの危機を迎えてしまう。
イモムシ達にご飯をあげて癒されているビリジアンはまだ、後ろから迫ってくる大きな変化の波に気がついていなかった。
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