HEAVY RAIN Rhapsody

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 カチャカチャとお母さんが朝ごはんを並べる音がかすかに聞こえる。小さなおうちだからお布団の中にいても、すぐ近くに気配が伝わる。いつもは寝坊助なたっ君がパチリと目を開き、トーストの香りとは反対方向に起き出した。  急いで布団から這い出て、薄暗い部屋の中、カーテンを開け放つ。射し込んだ眩しい光に目を細める。残念ながら今朝もこの季節には似合わない爽やかな青空が広がり、町はキラキラ輝いていた。薄目のまま、その空を睨み付ける。  カーテンレールの端では、逆さまに吊るされた『てるてる坊主』ならぬ『ふれふれ坊主』が一緒に外を睨み付けていた。乱暴にザッザッと髪の毛がたくさん描かれているから、『ふれふれロン毛』の方が正しいだろうか。良く見ると悲しげに泣いているのだが、逆さまにされているから怒っているように見えるのだ。
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