【ギア使用】

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【ギア使用】

・ ・【ギア使用】 ・  一旦家の敷地内に来たところでアムロがテンションマックスといった感じにこう言った。 「早速ギアを使用してみるんじゃ! ちゃんと自分で使えるかどうかテストするんじゃ!」  そうか、ギアってアムロとかも使えるんだ、ということは俺も使えるのかな、そんなことを考えながら、アムロのことを見ていると、アムロが歯車のようなギアを掴んで天にかざしたその時だった。  みるみるうちにアムロが大きくなっていき、5メートルくらいになったのだ。  アムロは楽しそうに飛び跳ねたので、ちょっと危なくて、 「あんまり騒ぐな! 危ないだろ!」  と声を出すと、アムロはしゃがんで俺のほうを見ながら、こう言った。 「こんなに大きくなったらご飯食べ放題なんよ! 早速ポンコツロボットと格之進でご飯を買ってくるんじゃ!」 「いやお金無いし」  と俺が言ったところでポンコツロボットが俺の肩をつんつんして、何だろうと思っていると、 「お金は既にわたくしが持っています。格之進様、買いに行きましょう」  そう言って俺の腕を引っ張った。  いやでも、 「今たくさん食べられたとしても、小さくなった時に胃や腹が縮まって痛くなるんじゃないか?」 「大丈夫です。ほら今もアムロ様の服ごと大きくなりましたよね、Tシャツと短パンも大きくなっていますよね。つまりは小さくなる時に、胃や腹の中の食べ物も小さくなると思われます」 「そういうもんなのかぁ」  と返事をしてから、俺とポンコツロボットで食べ物をコンビニへ買いに行った。  いやでもこれパシリ確定じゃんとも思ったけども、俺の分も普通に買ってもらえたのでそれは良かった。  こうやって好きな食べ物を選ぶなんて感覚は久しぶりだったから。いつも親戚のおじさんが選んだヤツを好きなタイミングで食べているだけだから。  店員さんはポンコツロボットを見て「未来感!」みたいな顔をしていた。好意的で良かった。 「買ってきたぞ、アムロ」  アムロはその場に寝そべっていた。  俺とポンコツロボットを見るなり、 「ポンコツロボットよ、口に運ぶんよ」 「はい、分かりました。アムロ様」  ポンコツロボットはまずおにぎりのフィルムをとって、アムロの口の中に放り込んだ。  いやでも初見でコンビニおにぎりのフィルムとれるって全然ポンコツじゃないよな、やっぱり。  アムロはもぐもぐ寝そべりながら食べてから、こう言った。 「海苔は香りが命なんよ」 「分かったように言うなよ、一口で食ったくせに」 「こういう機微が分かる男でありたいんじゃ」 「そういうこと全部口に出すヤツは野暮だけどもな」  そうツッコむと、少しムッとしてから、 「次のご飯を運ぶんじゃ! 次は甘いヤツがいいんじゃ!」  と言って、すぐさまポンコツロボットがシュークリームをアムロの口の中に放り込んだ。  幸せそうな、頬をとろけるような顔をしたアムロはこう言った。 「このとろとろ、太いんじゃぁ」 「とろとろは太さじゃないだろ」 「だからって細(ほそ)ではないんじゃ」 「確かに細ではないけどもな」 「ささっ、早く次の食べ物を運ぶんじゃ!」  次はパスタをもう”ごと”流し込んで、もったいないと思ってしまった。  ゆっくりちゅるちゅる食べることがいいのに。 「なかなか変わったソースで旨いんじゃ、酸味が逆に良いんじゃ」 「まあ別に逆ではないけどな」 「いや酸味は逆なんよ!」  とアムロが叫ぶとポンコツロボットは頷きながら、 「酸味は逆ですよね」  と言って、そっちの星ではじゃあ逆なのかと思った。  酸味は爽やかで、コクもあって、全然逆じゃない確定なんだけどな。  そんな調子でどんどん食べていったところで、アムロがこう言った。 「そろそろ小さくなりそうなんじゃ、じゃあ戻るんじゃ」  そう言ってアムロがぐんぐんと小さくなってきた刹那だった。 「うえぇぇええええええ! 苦しいんよ!」  アムロは元のサイズに戻ったところで寝転んだ状態のまま、ゴロゴロとのたうち回り出した。  ポンコツロボットは 「えぇぇぇえええええええ!」  と荒らげ、慌て始めた。  やっぱり、と思いながら俺は喋ることにした。 「大きくなった時、体の周りや中にあったモノは大きくなるだろうけども、その後、中に入ってきた異物は小さくならないと思っていたよ、俺は」 「早く言うんじゃぁぁあああ!」  これはもう吐かせるしかないな、と思って俺はアムロの鳩尾をパンチすると、アムロはその場で吐いた。  まあ不幸中の幸いはこれが外だということだな、と思っていると、アムロがふらふらしながら、 「今のパンチは……不問に……するんよ……」  と言ったので、当たり前確定だろと思った。  胃や腹の内容量的にはもうこれで大丈夫そうだけども、痛みの残り香というか、膨らんで体内を圧迫した部位やら何やらがまだ痛いらしい。  するとポンコツロボットが、 「今から薬を調合します。まず診断します」  と言ってアムロの体を触診し始めた。  俺はポンコツロボットへ、 「どんな薬も調合できるのか?」 「そうです。わたくしは、医療だけはポンコツじゃないのです」  と言ったんだけども、他の、会話とかも全然ポンコツじゃないようなと思った。  ポンコツロボットは飲みやすそうな液体状の薬を作り出して、それをアムロに飲ませた。  アムロはまだへろへろといった感じだけども、痛みは無くなったようで、効果てきめん確定じゃんと思った。
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