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虹色の世界
あれから、わたしたちは平和な日々を過ごしていた。
そして、わたしたちは
高校生活二度目の春を迎えた。
今は屋上でお昼を食べている。
「あ、明くんっ!こっち、こっち」
わたしは明くんに手を振る。
「花音ちゃん、更紗ちゃんお待たせ!」
明くんはあぐらをかいて座る。
「おせーよ、明」
ムスッとした顔をしているのは新しい友達の
斎藤貴くんだ。
「ふふふっ。まぁいいじゃない貴くん」
そう言ってふわりと微笑むのは葉月玲奈ちゃんだ。
彼女もわたしの新しい友達。
桜の花びらがどこからか飛んできた。
舞い散る桜たちは綺麗な薄いピンク。
桜ってこんなにも綺麗だったのね。
「綺麗だね」
更紗が舞い散る桜を見ながら嬉しそうに笑う。
わたしは頷く。
「すごく、綺麗」
わたしは過去を引きずって
自分の殻に閉じこもっていた。
だけど、一歩踏み出してみれば世界は
カラフルに変わった。
その勇気をくれたのは。
わたしは明くんをチラッと見る。
わたしの世界を君が虹色に染めてくれた。
景色は色を取り戻し色鮮やかに輝いている。
ありがとう。
明くんが変顔をしたので思わず噴き出す。
みんな、これからもよろしくね。
今、わたしの世界は幸せで満ちている。
〈終わり〉
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