始まり

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始まり

「上村さーーん! 一緒に帰ろー」 三上くんが手を振りながら駆け寄ってくる。 嬉しそうな笑顔で。 夕日が三上くんを照らしていて 後光が差しているように見える。 わたしはにっこり笑う。 「ごめん。今日はひとりで帰りたいから」 「えーっ、なんで?」 「ちょっと、疲れてて」 「えー、つまんないな」 三上くんはプクッと頬をふくらませる。 なんか、三上くんって子供っぽいよね。 思わず笑い声を漏らすと三上くんは目を丸くした。 「上村さんが笑った?!」 わたしは真顔に戻る。 「気のせいじゃない?」 「そっか……」 しょんぼりする三上くん。 もしかして、三上くんバ……げふんげふん。 「ところでさー、昨日のドラマ見た?」 なんで、自然な感じでついてきてるんだろうか。 さっきひとりで帰りたいと言わなかったか。 「見てない」 「そっかー、結構面白いよ!特に主人公の子が 超可愛くてさー」 もしかして。 「それ、茜ちゃんでしょ?」 思わず、三上くんの方を向くと三上くんは嬉しそうに二ヘラ〜と笑った。 茜ちゃんは今人気の女優でわたしの推しなのだ。 「そう!茜ちゃん!上村さんも女優とか興味あるんだね! 親近感湧く〜」 ハッ。 仲良くならないって決めたのに。 わたしは「じゃあね!」と三上くんを置いて 家に向かって走り出した。
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