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花音の過去
いつも一緒だったあの子。
わたしの誕生日には「これからもよろしくね」
と言ってくれた。
なのに、あの子は、更紗は
わたしを友達として見ていなかった。
「花音ちゃんさー、いつも女優の茜の話ばかりしてて
つまらないんだけど」
「あー、花音、茜のファンだもんねー」
「友達でもないのに、
毎日話しかけてきてさー」
教室に入ろうとしたとき、更紗の声が聞こえた。
え?
友達でもない??
聞き間違い、だよね。
「テンション合わないしマジだるい」
「……」
嘘。
泣きそうになった。
それからのことはどうやって家に帰ったのかも
記憶が朧げで覚えていない。
でも、わたしは自分でも頑張ったと思う。
更紗に嫌われたくなくて、毎日話しかけて
テンションを必死に合わせた。
次第に更紗の態度は変わっていき、
本当の親友になれたと思っていた。
けれど高校が離れ離れになると、
更紗からの連絡も少なくなっていった。
そして、更紗とは疎遠になってしまった。
どうせ、わたしから離れてしまうのなら
友達なんか作らない方が良い。
わたしはそう思うようになっていた。
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