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寂しい言葉、ひとかけら。
「これからもよろしく」
私がそう言うと、タツキさんはいつも眉間に眉をよせる。
きっといっぱい、言いたいことがあるんだろうな。信じてないみたいで嫌だっていうのもあるし、私の不安がわかって辛いっていうのもきっと。
それでも私は、タツキさんが仕事に行くたび、あるいは帰ってきた時も、眠るときも、決まって同じことを言う。
「これからもよろしく」
本当は、そんな寂しい言葉なんかじゃない。
だってもう二年も一緒に住んでいるんだもの。これからもずっと一緒にいられるはず、言葉にしなくたって伝わることもあるはずだって信じていたい。
それでも繰り返すしかない。
繰り返さないと怖くなる。だって、この時間はきっと永遠に続いたりなんかしないから。
私の不安がわかっているから、タツキさんも悲しそうにこう返すのだ。
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