20

5/8
426人が本棚に入れています
本棚に追加
/331ページ
(まさかヘルムフリートさんが侯爵だったなんて……! そんな高位貴族だとは思わなかった!!)  よく考えたら魔術師団長で王女殿下の恋人なのだ。そんじょそこらの貴族とは比べ物にならないぐらいの大物のはず。本人が気さく過ぎてつい失念していた。 「……あの、そのジ……騎士団長さんも、もしかして侯爵様だったりします……?」  侯爵のヘルムフリートさんと幼馴染なのだったら、ジルさんもきっと高位のお貴族様なのかもしれない。 「ん? 団長は公爵だよ。結構有名人だと思っていたけど、アンちゃんは知らないんだ?」 「こっ公爵っ?!」  驚愕する私をヴェルナーさんが不思議そうに見るけれど、今の私はそれどころじゃなかった。ジルさんの身分があまりにも高位過ぎて頭の中が真っ白だ。  それから、ヴェルナーさんがフィーネちゃんを連れて帰り、難なく仕事を終えることが出来たけれど、正直これまでのことはあんまり覚えていない。  だけどお客さんに何も言われなかったから、いつも通り振る舞うことができたのだと思う。 (うーん、まさかこんなに衝撃を受けるなんて……どうしてだろう……)
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!