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ジルさんが一緒に食べてくれるのなら、そんなに嬉しいことはない。
「ああ、忘れていた。手土産を持って来ていたんだった。気に入って貰えると嬉しいのだが」
そう言って、ジルさんはロングコートで隠れていた手に持っていた紙袋を差し出した。
「……っ?! こ、これは……っ!!」
ジルさんが持って来てくれたのは、老舗のケーゼ専門店で作られている限定品、ケーゼトルテだった。
「これは開店前に並んでも手に入らないという幻の逸品……?! 手に入れるのは大変だったんじゃ……?」
まさか朝イチにジルさんがお店に並んで購入したのだろうか……。なんか全然想像できないけれど。
「……いや、予め頼んでおいたからな。大変ではないから安心して欲しい」
ですよねー。
英雄がお店の行列に並んでたらみんなびっくりするだろうし、お店もすごく困ると思う。
「有難うございます! すごく嬉しいです!! 休憩の時に一緒に食べましょう!!」
新鮮なケーゼ、クワルクを使用して作られたというケーゼトルテは、一見濃厚そうに見えて実はさっぱりしているという、大人気の商品なのだ。
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