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一度は食べてみたいと思っていたのですっごく楽しみ。
「む。喜んでくれたのなら嬉しい」
ジルさんの安堵した微笑みに、今日初めての花が舞い散る幻影を見る。相変わらず凶悪な笑顔である……良い意味で。
「じ、じゃあ、朝食の準備をしますね! 温室で待って貰っていいですか?」
「それは申し訳ない。俺も何か手伝いたいのだが」
「え? え? えっと、じゃあ、サラダに使う野菜とクラテールを採りに行くので、手伝って貰っていいですか?」
「わかった」
高位貴族のジルさんに野菜の収穫なんてさせちゃって良いのかな、と思いつつ、ジルさんは意外と土いじりが好きなのだと知っている私は、まあいっか、と考えを改める。
(ここにいる間だけでも、好きなことをして過ごして欲しいしね)
私はジルさんからコートを預かり、ハンガーに掛けると、奥の棚からエプロンを取り出した。
「ジルさん、服が汚れるといけないのでエプロンを付けて下さいね」
私が用意していたエプロンは、黒い首掛けタイプのもので丈が長く、腰紐を前で結ぶものだ。
「ああ、有難う、助かる」
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