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 さすがにジルさんに食器洗いなんてさせられない。キレイな指が荒れてしまうようなことがあってはならないのだ。 「いいですいいです! 寄植えに使いたいクラテールがあれば教えて下さい」 「……有難う。すまんが頼む」  今日の本来の目的を思い出したのか、ジルさんは素直に温室へと向かう。  私はササッと食器を洗い、テーブルを片付けると、温室の端っこにある物置から寄植えに使う鉢や道具を準備する。 「ジルさん、気に入ったクラテールはありましたか?」 「……む。それが中々決められなくてな」  温室には鉢で栽培しているクラテールと、地植えしているクラテールがあり、種類も結構様々だ。確かに初めての場合、どれが良いのか決められないだろう。  ジルさんが気に入ったクラテールを選べば、用途や属性に合わせて他のクラテールを選ぼうと思っていたけれど、違う方向からアプローチしたほうが良いかもしれない。 「えっと、じゃあジルさんはクラテールをどう使いたいですか? 例えば、良い香りを楽しみたいとか、料理やクロイターティに使いたいとか。用途は色々ありますよ」
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