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 ジルさんは私の指示をテキパキとこなしていく。力もあるから土も軽々と持ち上げるし、物覚えもすごく良いので、次からはジルさん一人で作れてしまいそうだ。  鉢に土を入れたので、次はクラテールの苗を植える作業だ。 「苗同士はなるべく離してくださいね。育ってくると葉と根が詰まってしまいますから」 「なるほど」  苗を置く場所が決まったら、更に土を入れて苗の隙間を埋めていく。あまり土を入れすぎると水をあげた時に土も溢れてしまうので、鉢のふちから少し下ぐらいにする。 「はい、後はたっぷり水をあげれば完成です!」 「む。これで完成か。予想より簡単で楽しかった。アンが準備してくれたおかげだな」  寄植えが完成した達成感からか、ジルさんが清々しい笑顔を浮かべている。 (……くっ! キラキラ十倍増し……っ!!)  初めて見る種類の笑顔に油断した。こんな笑顔も出来るとは、意外とジルさんは表情豊かだったようだ。 「ま、まあ、準備と言っても土を配合して寝かせておいただけですけどね」 「そうか。手間を掛けさせてしまったな。……お礼に何か俺に手伝えることはないだろうか」
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