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「はっ?! え、いえ、これと言って特に今は何も……」
実際、手伝って貰いたいことは無いけれど、仮にあったとしても仕事がお休みの日まで、ジルさんに力仕事はさせられない──
「……む。そうか……。何か力仕事があればいつでも言ってくれ」
──と思ったけれど、私はジルさんの寂しそうな顔を目撃してしまう。
(ジルさんの後ろにしょんぼりと耳の垂れた犬の幻影が……っ!)
彼のそんな顔に弱い私は、一度ぐらいならお言葉に甘えても良いかもしれない、と考えを改めることにした。チョロい女だという自覚はある。
「はい、手伝っていただきたい時は遠慮なくお願いしますから。その時はよろしくお願いしますね」
「ああ」
私がお願いすると、ジルさんが嬉しそうな表情をする。何だかお互いを助け合う関係って感じがして、私まで嬉しくなってきた。
「じゃあ、休憩しましょうか。ジルさんが持ってきてくれたケーゼトルテと、今日植えたクラテールのクロイターティはいかがでしょう?」
「うむ。それは良い。楽しみだ」
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