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「その件ですが、王女殿下とローエンシュタイン侯爵から要望が出ておりまして。装飾の花は『プフランツェ』ではなく、別の店に依頼したいと」 「別の店? その店は『プフランツェ』よりも大きいのですか?」 「いえ、王都の外れにある花屋で、かなり小さい店のようですね」 「いやいや、大切な式典の花をそんな花屋に任せる訳にはいかないのでは?」 「しかし、当のご本人お二人が希望されていらっしゃいますので、流石に無視する訳にはいきませんよ」  今まで王宮で開催された行事で使用される花は、王都にある生花店に発注していた。最近では貴族街にある『プフランツェ』が主な発注先となっている。 「しかし殿下たちは何故その店を? 品質は確かなのでしょうか?」  王族の、しかも『王国の華』と称されるほど美しく人気がある王女の婚約式なのだ。みすぼらしい花で装飾されると国の品格を疑われてしまう。 「その点に関しては全く問題ないと、私が保証しましょう」  難色を示す大臣たちに声を掛けたのはフィリベルトだ。  彼はアンの店を利用したことがあり、その花の品質を高く評価している。
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