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「確かに『ブルーメ』は店自体は小さいのですが、売られている花の色は鮮やかで、しかもかなり花持ちが良いのです。品質だけで言うなら『プフランツェ』よりも上でしょう」 「ほほう、そんなに……」 「あの『プフランツェ』よりも?」 「フィリベルト殿がそこまで仰るなら問題はありませんな」  初めは否定的だった大臣たちも、フィリベルトが太鼓判を押すのを聞いて安心いたらしく、反対する者はいなくなった。 「では、生花の方は『ブルーメ』に依頼するということで決まりですね」 「異議なし」  そうして、会議は滞りなく終了し、国王や大臣たちは会議室から退出して行く。フィリベルトが同じように退出しようとした時、背後から声を掛けられた。 「フィリベルト殿、少しよろしいですか?」 「ああ、ディーステル殿。もしかして『ブルーメ』の件ですか?」  フィリベルトに声を掛けたディーステルは、国王を補佐する行政官で、王家の栄典及び公式制度に関する実務を担っている。大臣の位こそ無いが、立場的には上位に格付けされている人物だ。
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