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「はい。その『ブルーメ』は、若い女性が一人で切り盛りしている店だと小耳に挟んだのですが、本当でしょうか」 「ええ、その通りです。ディーステル殿の心配もわかりますが、私だけでなくリーデルシュタイン卿──騎士団長も懇意にしている店なのですよ」 「なんと! リーデルシュタイン卿が?!」 「はい。王女殿下とローエンシュタイン卿に留まらず、私や私の友人も『ブルーメ』はお気に入りの店ですよ。もし気になられるのなら、一度店を訪れてみては如何でしょう」  王女たちが推薦しているとはいえ、新しい店との取引にディーステルは消極的であった。しかし、国の英雄であるリーデルシュタイン騎士団長まで認める店ならば、信用しても良いかもしれないと考える。 「……なるほど。どちらにしろ、一度は会わなければなりませんからね。でもお陰様で気が楽になりました」  ディーステルはフィリベルトに礼を告げると、自身の執務室へと戻り、今日は帰宅すると補佐官に伝えた。  自宅へ向かう馬車の中で、ディーステルは「そう言えば……」と思い出す。
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