思い鶴

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思い鶴

 物の化け物で物の怪だ。  折り紙である。白い折り紙だ。  その折り紙に手紙と贈る相手の名前を書いて鶴を折る。その鶴は相手まで飛んで行き文面を読んでくれる。  その折り紙を作ったのははぐれ陰陽師の娘だ。  少女がその折り紙を手に入れた。近所のお姉さんからもらったのだ。  嘘だと思ったが実際にやって見せられた時はただただ驚いた。  少女は折り紙に男の子の名前と好きだと一言書いた。  あとは折るだけだが折れない。  少女はずっと紙を睨んでいた。  色々考えて別の紙に調子はどうだいと書いた。  少女は夕飯を食べ、風呂に入り折り紙を折った。  折り鶴は飛んでいく。  少女が好きと書いた紙をどこにしまうか考えようと手に取る。 「調子はどうだい?え?」  少女が手に取った紙にはそう書いてあった。  汗が止まらない。 「ああぁァァァああ」  少女は不思議な踊りを踊った。しかし何も起こらなかった。  そして、一羽の折り鶴が少女の所に来た。 「よよよよろししく」  ちゃんと書けや。少女は叫んだ。  
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