0人が本棚に入れています
本棚に追加
思い鶴
物の化け物で物の怪だ。
折り紙である。白い折り紙だ。
その折り紙に手紙と贈る相手の名前を書いて鶴を折る。その鶴は相手まで飛んで行き文面を読んでくれる。
その折り紙を作ったのははぐれ陰陽師の娘だ。
少女がその折り紙を手に入れた。近所のお姉さんからもらったのだ。
嘘だと思ったが実際にやって見せられた時はただただ驚いた。
少女は折り紙に男の子の名前と好きだと一言書いた。
あとは折るだけだが折れない。
少女はずっと紙を睨んでいた。
色々考えて別の紙に調子はどうだいと書いた。
少女は夕飯を食べ、風呂に入り折り紙を折った。
折り鶴は飛んでいく。
少女が好きと書いた紙をどこにしまうか考えようと手に取る。
「調子はどうだい?え?」
少女が手に取った紙にはそう書いてあった。
汗が止まらない。
「ああぁァァァああ」
少女は不思議な踊りを踊った。しかし何も起こらなかった。
そして、一羽の折り鶴が少女の所に来た。
「よよよよろししく」
ちゃんと書けや。少女は叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!