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それが本当かウソか未だにわからないままだけれど、ここで悠長にしている時間はなかった。
「そうだな。とにかく行くか」
大輔はそう言って壁に立て掛けてあったバッドを手に持った。
しっかりと握りしめて他の面々を見つめる。
佳奈はフルーツナイフを握りしめた。
それぞれが武器を手に玄関を出る。
外に出た瞬間重苦しい空気が体にまとわりついてきた。
足が重たくてなかなか前に出なくなる。
まるで泥沼の中を進んでいるような感覚だ。
しばらく無言で歩いて5人は首無し地蔵へとやってきた。
毎回ここまで来ると地面に足跡がついているのだ。
それをたどっていった先に首がある。
足跡は途中で途切れているから、そこから先を探すのが自分たちの役目だった。
「今回もダメか」
足跡が途切れているところで立ち止まり、大輔がつぶやく。
「ここからは手分けをして探したほうがいいかも」
佳奈がそう提案したときだった。
不意に暗闇の向こうから更に黒く、細長いヒトガタの物が見えた。
100メートルほど離れているがそれが見えた瞬間、5人の表情がこわばった。
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