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「来やがった」
大輔がバッドを握り直す。
背の高いソレは手先がやけに長く、月明かりに照らされてギラギラと光っている。
手の先だけ鋭利な刃物になっているのだ。
明らかに人間ではない、5人はソレは黒い化け物と呼んでいた。
黒い化け物に攻撃をされると傷つき、血が出る。
首を探し当てた時は夢だったかのように布団の中で目覚めるが、この傷だけは現実のものとして残り続けるのだ。
とすれば、もしかしたら命さえも本当に奪ってしまうのかもしれない。
佳奈は全身にジットリと汗が滲んでいくのを感じていた。
下手をすれば殺されてしまうという恐怖を全身に感じていた。
両手でフルーツナイフを握りしめたとき、「来る」と、大輔が小さく言った。
次の瞬間だった。
黒い化け物がすぐ目の前にいた。
黒い化け物は動きが素早く、人間の目では追いつけないほどの速さで距離を詰めてくる。
こっちは常に警戒し、攻撃できる大勢でいなければいけないのだ。
「近い!」
佳奈が目を見開いて叫ぶ。
咄嗟に手を振り上げてフルーツナイフを振り回す。
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