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良枝おばさん
「お父さん、中に入らない?」
静美からそう言われて、成徳は首を縦に振った。
二人はチャペルに入り、受付会場を通る。
受付付近に、静美と同年代と思える人たちが集まっていた。
その中にいる数人の女子が、静美に手を振り、静美も手を振った。
「行かなくていいのか」
「さっき話しをしたから大丈夫」
成徳の問いかけに、静美はそう答える。
受付会場を後にした成徳と静美は、その奥にある田中家一同様と書かれた部屋へと入った。
部屋から「静ちゃん」と声がする。
「良枝おばさん」
静美は良枝に近づき、握手を交わす。
「来てくれてありがとう」
静美の声がワントーンあがっていた。
「きれいよ。似合ってるわ」
良枝は頷きながらそう言った。
良枝は和枝の妹で、静美の良き理解者でもあった。
成徳は、会話している二人を見ながら、和枝の事を思い出していた。
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