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辛い出来事
成徳は和枝と結婚し、血の繋がっていない静美を我が子として迎え入れた。
「ありがとう。私なんかで良かったの」
戸惑いながら問いかける和枝に、成徳は「和枝と一緒にいたい。和枝を愛せば、静美も愛せる。そう思えたんだ」と答えた。
迷いはなかった。
それを聞いた和枝は、頬がゆるみ「よろしくお願いします」と頭を下げた。
こうして、家族三人の生活が始まった。
お互いに愛を育む。
成徳は和枝を愛して、静美を我が子として愛した。
静美も少しずつ成徳に慣れ、本当の父子と思えるくらい仲良しになった。
このまま幸せが続いてほしい。
だけど、その願いは叶わなかった。
2年間一緒に暮らしたある日、和枝がトラックにひかれて亡くなった。
運転手が飲酒運転で居眠りをしていたためだった。
突然の訃報に、現実を受け止める事ができなかった。
成徳は運転手を憎んだ。
それどころか神を憎んだ。
辛い日々が始まった。
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