片想い

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「…店長って、來未の事が好きなんですか?」  看板を持って事務所にやってきた栞は、事務作業の片手に、隣のパソコンでホール内の監視カメラ映像を同時に見ていた樹怜に投げかけた。 「!」  突然聞こえてきた栞の声に、パソコンの画面に目が行っていた樹は、慌てて後ろを振り返る。 「なんだ神林か? 脅かすなよ」 「すみません。看板を戻しにきました」 「そっか? いつもの所に戻しておいてくれ!」 「解りました」  栞は、樹に対して一礼すると彼の前を通り、奥のロッカーの中に看板を戻す。  そして、再び樹の元に戻ってくると…彼が見ていたホール内を映した監視カメラの指差しながら…改めて樹に尋ねる。 「で、店長はいつから來未の事が好きなんですか? 來未がバイトとして入ってきた頃からですか?」 「なに言い出すんだ! あいつはここのスタッフだぞ!」 「スタッフだったら好きになったらいけないんですか?」 「あのなぁ? 俺はこう見えてもこの店の店長だぞ!」 「だから何ですか?」 「だから? 店長である俺が、スタッフである七橋に好意を持つはずないだろう?」 「そうでしょうか? 私から見て店長と來未は…」 「神林! 他に用事がないならもういいか?」  栞の言葉を遮るように樹が栞に話しかける。  樹は、まだ事務作業最中だ。  だから、正直これ以上栞の話につきあっている暇はない。 「あぁぁすみません! 店長お疲れ様でした」   來未の事をもう少し追求しようとしていた栞は、樹のこの言葉に、彼が事務作業中だった事を思い出し、慌てて部屋から出ていった。 「あぁ! 生クリームのこと…まぁいっか明日謝れば」 ★
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