38人が本棚に入れています
本棚に追加
「…店長って、來未の事が好きなんですか?」
看板を持って事務所にやってきた栞は、事務作業の片手に、隣のパソコンでホール内の監視カメラ映像を同時に見ていた樹怜に投げかけた。
「!」
突然聞こえてきた栞の声に、パソコンの画面に目が行っていた樹は、慌てて後ろを振り返る。
「なんだ神林か? 脅かすなよ」
「すみません。看板を戻しにきました」
「そっか? いつもの所に戻しておいてくれ!」
「解りました」
栞は、樹に対して一礼すると彼の前を通り、奥のロッカーの中に看板を戻す。
そして、再び樹の元に戻ってくると…彼が見ていたホール内を映した監視カメラの指差しながら…改めて樹に尋ねる。
「で、店長はいつから來未の事が好きなんですか? 來未がバイトとして入ってきた頃からですか?」
「なに言い出すんだ! あいつはここのスタッフだぞ!」
「スタッフだったら好きになったらいけないんですか?」
「あのなぁ? 俺はこう見えてもこの店の店長だぞ!」
「だから何ですか?」
「だから? 店長である俺が、スタッフである七橋に好意を持つはずないだろう?」
「そうでしょうか? 私から見て店長と來未は…」
「神林! 他に用事がないならもういいか?」
栞の言葉を遮るように樹が栞に話しかける。
樹は、まだ事務作業最中だ。
だから、正直これ以上栞の話につきあっている暇はない。
「あぁぁすみません! 店長お疲れ様でした」
來未の事をもう少し追求しようとしていた栞は、樹のこの言葉に、彼が事務作業中だった事を思い出し、慌てて部屋から出ていった。
「あぁ! 生クリームのこと…まぁいっか明日謝れば」
★
最初のコメントを投稿しよう!