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「……お前、やっぱりまだ……」
泣いている明希の姿を見て、思わず兼城は呟いた。
「そんな訳ねぇだろう! 俺と……の関係は、7年前にとっくに終わってんだぞ」
兼城の言葉に、大きな声で否定しながらも、両目から流れてくる塩辛いって、戻ることない思い出を親友に見えない様にそっと拭き取る。
「ふんん……明希がそこまで言うなら、俺は、もうなにも言わないけど、本当にそれでいいのか?」
來未が、2週間前、いまカレだった、古橋総一郎から一方的に婚約破棄をされ、今、現在フリーなことを知っている兼城はできることなら、七橋とよりを戻して欲しいと思っている。
まぁ? これもあくまで個人の勝手なエゴで、俺がアイツらの問題に割って入ることはできないけど、唯一、7年前の七橋の葛藤を傍で見てきたから、七橋には、今度こそ幸せになって欲しい。
そして、可能なら……
「……薪?」
「あぁなんでもない? それより、俺に話したい大事な話ってなに?」
兼城は、場の空気を変える為に話題を変え、ステーキを一口頬ぼる。
「あぁ! あのさ……ま……」
兼城の質問に明希が口を開こうと瞬間、
「いらっしゃいませ! お一人様ですか?」
お客が店の中に入ってきたのか、入口の方から店員の声が聴こえてきた。
でも、自分達には、関係ないので、すぐさま入口から視線を戻す。
そして、改めて、明希が兼城に向かって口を開こうとしたら……
「明希君!」
「來未?」
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