◆憧れの人と

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 だいぶヘロヘロで疲れていたけど、幸せの余韻のおかげで何とか最寄り駅までたどり着く事ができた。 「――――!!」  ハルさんがいた。  うそ、最寄駅一緒なの!?  歩き出したハルさんと方向も一緒で後をつけているみたいになってしまった。  距離を置こうと思ってコンビニで少し時間を潰す。  どこかでバッタリ会えたら嬉しいなと思っていた僕に衝撃が待っていた。 「あれ、ゆうくん?」 「え……」  エントランスにコンビニの袋を持ったハルさんがいた。  同じマンションなの!?  ハルさんは別のコンビニに行っていたのか!  コンビニ行ってよかったー!  あのまま後ろにいたらきっと会えなかった。 「同じマンションだったんだね  びっくり」 「ですね、僕もびっくりしました」 「このマンション人とあんまり会わないもんね」  エレベーターに乗り同じ階だと判明する。 「階まで一緒なんだ  1回も会ったことないね」 「そうですね」  会いたかったー。  エレベーターを降りて一緒に歩く。 「僕ここなんで」 「え……隣だったんだ」 「!!」  憧れのハルさんが隣に住んでいた!!  衝撃の事実。 「じゃあ、あれってゆうくんか」  僕の方に近づいてきてそっと囁いた。 「声、気を付けて  ここ壁薄いから」  声……  瞬時に理解して顔から火が出そうになる。  1人でやってるときの聞こえてた!?  恥ずかしすぎる……。 「あの、教えてくださってありがとうございました  今日はほんとにありがとうございました  失礼します」  早口で喋って急いで家の中に入った。  声そんなに出してるつもりなかったのに聞こえてたんだ。  気をつけよう。    隣にハルさんがいる……。  ハルさんは連絡してって言ってくれたけど、恐れ多くて連絡なんてできない。  最高の時間を過ごせて大満足だったし、今日だけで十分だ。  でももしまた会えたら挨拶をしてもいいだろうか。  そんな事を考えるだけで、僕は幸せな気持ちになれた。
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